夜空をいろどる夏の風物詩「花火」。近年では色や形のバリエーションも豊かになり、観る人々を楽しませてくれます。
一言で「花火」といっても、その歴史や種類は非常に奥が深いのです。
今年で30周年を迎えるなにわ淀川花火大会を例年以上にお楽しみいただくための情報をまとめました。
花火の歴史
花火の歴史は紀元前から!?
花火の原型といわれる『のろし』の歴史を辿ると、古代インドやギリシア、ローマといった紀元前にまで遡るといわれています。中国の薬を作る錬丹術師によって火薬は偶然発明されました。その後、火薬は軍事技術者への手に渡り、武器に使用されるようになります。南宋時代には爆竹などの花火が市場に出ていたともいわれています。
武器から祝砲へ
十三世紀には商人を通じて火薬はイスラム諸国に伝わります。武器としても使用されますが、花火としても使われるようになります。現在のような花火は十四世紀後半にイタリアのフィレンツェで始まりました。すぐに王侯貴族の間で花火は広がり、結婚式や戴冠式などで打ち上げられるようになりました。
日本での歴史
日本にも文永十一年に蒙古軍が来襲した際に武器として火薬が持ち込まれました。花火が鑑賞されるようになったのは江戸時代です。徳川家康が中国人によって打ち上げられた花火を見たことがきっかけで将軍や大名の間で花火が流行します。本格的に川開きの花火が打ち上げられるようになったのは、享保十八年の大飢饉がきっかけです。八大将軍吉宗は慰霊と悪疫退散を祈って水神祭を行い、その時に花火を打ち上げたのが始まりです。
世界の花火
世界にはいろいろな花火がありますが、その種類や用途は国によって違います。
武器として用いられていた火薬が、長年の時を経て、世界中で愛される花火へと進化していったのです。
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中国の花火
火薬を発明したのは中国。観賞用の花火ができるずっと以前から爆竹が魔除けとして使われていた。現在は日本の花火製造技術を取り入れて打ち上げ花火の生産も増えている。日本の花火大会の7割ほどが中国製といわれている。
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アメリカの花火
アメリカでは新年や独立記念日に花火が打ち上げられる。通常は花火の販売や使用を禁止している州でもこの時ばかりは許可されている。また、イベントやショーなどを盛り上げる効果として花火が使用される。
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ヨーロッパの花火
ヨーロッパの花火はロケットか茶筒のような形をした円筒形である。そのため日本のような丸い大輪の花のようにはならず、柳のような形になる。日本の場合は花火そのものを鑑賞することが目的だが、ヨーロッパの場合は庭園やエッフェル塔のライトアップをするといった演出することを目的として使用されてきた。
花火の名前
花火の名前を玉名といいます。
玉名のつけ方は、『打ちあがってからどう変化して消えていくのかを表したもの』と、『イメージでつけられたもの』二種類に分けられます。
イメージでつけられたもの
玉手箱、花束、虹などといった夜空に浮かぶイメージでつけられたもの
打ちあがってからどう変化して消えていくのかを表したもの
上昇中の様子+芯部の構成+変化+消え方といったふうに、花火の素性を表しています。
玉名を読めば、その花火がどのようなものなのかが分かるようになっています。
曲物類、上昇途上変化系
昇~(のぼり~)昇~付(き)【例】・昇小花付・昇朴付き
- 昇竜太い尾を引きながら上昇。
- 昇銀竜太い白色の尾を引きながら上昇。
- 昇小花上昇中に小さな花がいくつか開く。
- 昇分花上昇中に四方に星を飛ばす。
- 昇電光上昇中に花雷がいくつか開く。
- 昇置光月上昇中にいくつかの吊り星が漂う。
- 昇曲導付曲物が付いている場合の総称
芯および構造の様子系
芯入~(しんいり)親星の内側に最低ひとつの芯を持つ、計2重丸以上の割物。~には菊、牡丹などの語句が続く。【例】芯入冠菊、芯入菊先青光露
- 八重芯(やえしん)親芯の内側に2重の芯を持つ、計3重丸の割物
- 三重芯(みえしん)親芯の内側に3重の芯を持つ、計4重丸の割物
- 四重芯(よえしん)親芯の内側に4重の芯を持つ、計5重丸の割物
- 雌雄芯(しゆうしん)芯に太い星が混ざり、雄しべ雌しべがある
- 点滅芯ピカピカと点滅を繰り返す星を使用。
- キラ芯キラキラした星くずのような芯。
- 花芯、万華鏡芯芯星がいくつかまとまって開く。
- 大葉入(おおばいり)雌雄芯より大きな星が混ざり親星と同じ大きさに開く。
- 覆輪(ふくりん)一周別種の星を込めてその部分が輪になって見える。
開発後の星などの変化
変化~ 星の変色が引き色を除いて2度以上あること。
- 引(ひき),引先(ひきさき)菊物花火で星の変化の状態にかかる言葉、またはその色からの変化。菊花火そのものを指す。
- 錦(にしき),錦先(にしきさき)引き色が炭火色でなく、より明るい金色のもの。またはその色からの変化。
- 先~、先之星の末端部~になる。
- 銀波(ぎんぱ)引き色がより明るい銀色系。またはその色からの変化。
- 細波(さざなみ),キラキラ点滅と似ているが、細かく崩落し細かい光の粉を残しながら飛ぶ。
- キラ芯キラキラした星くずのような芯。
- 二化(にか)二度変色する。
- ~度変化星先が~度変色するの意味。
炎色剤
花火に色がついているのは、燃焼する化合物がそれぞれ特有の色を発して燃えるからです。
花火に使われる主な酸化剤
- 硝酸カリウム
- 過塩素酸カリウム
- 硝酸バリウム
- 過塩素酸アンモニウム
- 硝酸ストロンチウム
- 酸化鉄
花火に使われる主な可燃剤
- 硫黄
- マグネシウム
- 三硫化アンチモン
- 二二合金
- 炭粉
- デンプン
- アルミニウム
- 鶏冠石
花火に使われる主な酸化剤
- アルミニウム
- マグナリウム
- マグネシウム
花火の色と使われる炎色剤
打ち上げ花火の種類
打ち上げ花火には数え切れないほどの種類があります。まず、「夜物」「昼物」。更に 玉の割れ方の違いで「割物」「ポカ物」に大別できます。
夜物
割物・・・玉の中心に割薬という火薬が入っていて、それを囲むように花火の光になる星が詰まっている。割薬に火がつき破裂して四方八方へ光が飛び、花が咲いたように見える仕組み。
ポカ物・・・玉が二つにパカッとくす玉のように割れる仕組み。
昼物
ドンッ、ドンッと運動会やお祭りなどの開幕を告げる音花火も、昼花火の一種です。昼花火は音だけのものが多いですが、他にも煙に色をつけた煙柳、煙菊などたくさんの種類があります。
割物・・・菊など
ポカ物・・・吊物、袋物、煙物、音物